テアトル・エコーは喜劇として演じる-「おかしな二人」を市民劇場にて鑑賞
- 2017/06/20 (Tue)
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周南市民劇場で、「おかしな二人」(テアトル・エコー)を観劇してきました。
おかしな二人
作/ニール・サイモン 翻訳・演出/酒井洋子
あらすじ:妻と離婚して子どもと離れて暮らしているオスカー(安原義人)は部屋は散らかり放題の悠々自適、自堕落な生活を送っていた。ある夜、いつものように仲間たちとポーカーをしているとフィリックス(根本泰彦)が遅れてやってきた。普段は周囲を息苦しくさせるほどに細やかな性格をしているフィリックスだが、その夜はある事情を抱えていた……。
オスカーとフィリックス、真逆の性格をした二人だが、その夜をきっかけに奇妙な共同生活を始めることになる……。
「おかしな二人」を、端的にまとめますと、”離婚の憂き目にあいながらも、まだそれをうまく処理できない男が、疑似的な結婚生活を通して、ちゃんと離婚する”物語です。結婚もして子どももいる大人の成長の物語です。
現代社会において離婚はそう珍しいことではなくて、幸いにも私は体験していませんが、人生を大きく変えてしまうものだということはたやすく想像できます。
多くの人に起こり得る、ありふれた大事件として、そういった切り口で描くこともできる戯曲ですが、そのような演出にはなっていませんでした。あくまでも、コメディーとして上演されていました。
それはけして悪いことではありません。劇団の色の問題です。テアトル・エコーが翻訳物を上演するときは徹底的に喜劇として上演する。そうスタンスの劇団なんだろうなと思いました。好感をもって受け止めました。
また今回の上演の特徴として、演出家が権力をふるっている舞台ではなくて、個々の役者のサービス精神で成り立っている作品だなと感じました。もちろん、立ち位置が汚かったり、シーンの方向性に不一致を感じたり、演出が機能していない印象はみじんもありませんでしたが、演出が巧みだなと思うこともなく、役者さんが素敵だなと思うことばかりでした。
これも劇団の色だと思います。特にオスカー役の安原義人さんは、長台詞も多かったのですが、一度として飽きることはなく、むしろ長台詞が楽しかったです。プロなら当然のようですが、当然のことを当然のようにできるのが本当のプロです。例えば皮肉で真逆の喋り方をしていたり、しゃべりながら感情が変わっていったり、自分が演じるときに真似したいと思うことがたくさんありました。
なかなか満足だった今回の周南市民劇場。次回例会は、7月24日(月)、25日(火)の「春、忍び難きを」(劇団俳優座)です。日本劇作家協会の旗揚げに携わり、他の劇作家さんから“劇作技術のみの話をすれば、多分、日本で一番の劇作家”斉藤憐さんの作品。“終戦まもなくの農村部を舞台に、そこで暮らす人々、特に女性たちの物語”だそうです。
周南市民劇場は、会員制の演劇鑑賞会です。興味のある方は、まず事務局(0834-21-7097 火~土 10:00~19:00)までご連絡ください。
おかしな二人
作/ニール・サイモン 翻訳・演出/酒井洋子
あらすじ:妻と離婚して子どもと離れて暮らしているオスカー(安原義人)は部屋は散らかり放題の悠々自適、自堕落な生活を送っていた。ある夜、いつものように仲間たちとポーカーをしているとフィリックス(根本泰彦)が遅れてやってきた。普段は周囲を息苦しくさせるほどに細やかな性格をしているフィリックスだが、その夜はある事情を抱えていた……。
オスカーとフィリックス、真逆の性格をした二人だが、その夜をきっかけに奇妙な共同生活を始めることになる……。
テアトル・エコーという劇団
テアトル・エコーは、主に翻訳物の喜劇を上演するほか、かつては井上ひさしが書き下ろしていたこともあり、オリジナルものを上演することもあります。「おかしな二人」を、端的にまとめますと、”離婚の憂き目にあいながらも、まだそれをうまく処理できない男が、疑似的な結婚生活を通して、ちゃんと離婚する”物語です。結婚もして子どももいる大人の成長の物語です。
現代社会において離婚はそう珍しいことではなくて、幸いにも私は体験していませんが、人生を大きく変えてしまうものだということはたやすく想像できます。
多くの人に起こり得る、ありふれた大事件として、そういった切り口で描くこともできる戯曲ですが、そのような演出にはなっていませんでした。あくまでも、コメディーとして上演されていました。
それはけして悪いことではありません。劇団の色の問題です。テアトル・エコーが翻訳物を上演するときは徹底的に喜劇として上演する。そうスタンスの劇団なんだろうなと思いました。好感をもって受け止めました。
また今回の上演の特徴として、演出家が権力をふるっている舞台ではなくて、個々の役者のサービス精神で成り立っている作品だなと感じました。もちろん、立ち位置が汚かったり、シーンの方向性に不一致を感じたり、演出が機能していない印象はみじんもありませんでしたが、演出が巧みだなと思うこともなく、役者さんが素敵だなと思うことばかりでした。
これも劇団の色だと思います。特にオスカー役の安原義人さんは、長台詞も多かったのですが、一度として飽きることはなく、むしろ長台詞が楽しかったです。プロなら当然のようですが、当然のことを当然のようにできるのが本当のプロです。例えば皮肉で真逆の喋り方をしていたり、しゃべりながら感情が変わっていったり、自分が演じるときに真似したいと思うことがたくさんありました。
なかなか満足だった今回の周南市民劇場。次回例会は、7月24日(月)、25日(火)の「春、忍び難きを」(劇団俳優座)です。日本劇作家協会の旗揚げに携わり、他の劇作家さんから“劇作技術のみの話をすれば、多分、日本で一番の劇作家”斉藤憐さんの作品。“終戦まもなくの農村部を舞台に、そこで暮らす人々、特に女性たちの物語”だそうです。
周南市民劇場は、会員制の演劇鑑賞会です。興味のある方は、まず事務局(0834-21-7097 火~土 10:00~19:00)までご連絡ください。
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